はじめに
「AI画像生成」によって、副業の入り口が格段に広がりました。 バナー制作、SNSアイコン、商品モックアップ、サムネイル、LINEスタンプ、挿絵、電子書籍の表紙まで、これまでデザイナーに外注するしかなかった領域を、個人でもスピーディに形にできます。とはいえ、いざ始めようとすると「ツールが多すぎて選べない」「商用利用って本当に大丈夫?」と不安も出てきますよね。
この記事では、初心者でも迷わず選べる5つのAI画像生成ツールを、2025年の視点で丁寧に比較します。各ツールの始め方(ステップ)、具体操作、事例(ケーススタディ)、注意点コラムまで、はじめてでも失敗しないようにまとめました。小難しい専門用語もやさしく解説するので、安心して読み進めてください。
本文
5ツールの比較早見表(まずは全体像をつかむ)
ツール | 得意分野 | 学習コスト | 料金目安* | 商用利用のしやすさ | 代表的な機能 |
---|---|---|---|---|---|
Midjourney | 写実・アート調・独自表現 | 中 | 月額課金 | ○(規約要確認) | Discord操作、アップスケール、バリエーション |
DALL·E(ChatGPT画像生成含む) | 指示の解釈力・整合性 | 低 | 従量/プラン内 | ○(規約要確認) | 生成・編集(Inpainting/Outpainting)、バリエーション |
Stable Diffusion(ローカル/クラウド) | 自由度・カスタム(LoRA/ControlNet) | 中〜高 | 無料〜サービス従量 | ○(学習素材・権利要注意) | ネガティブプロンプト、モデル差し替え |
Adobe Firefly | 写真レタッチ・合成・DTP連携 | 低〜中 | サブスク内 | ○(コンテンツクレーム配慮) | 生成塗りつぶし、テキスト効果、Photoshop連携 |
Canva(Magic Media) | デザイン一気通貫 | 低 | 無料〜Pro | ○(素材ごとに条件) | テンプレ×生成、ブランドキット、共同編集 |
*料金・規約は変動します。最新の公式情報の確認をおすすめします。
使い分けの目安
- 最速で絵作り→納品したい:Canva / DALL·E
- 作風にこだわりたい・作品性:Midjourney / Stable Diffusion
- 写真合成やDTP連携:Adobe Firefly
第1章:Midjourney ― 「雰囲気のある一枚」を得意とする表現派
初心者事例(何ができる?)
- SNSアイコン(人物・動物・ファンタジー)
- YouTubeサムネの背景アート
- グッズ用のイラスト風アート(※ライセンス要確認)
- カフェ・雑貨ブランドの世界観ビジュアル
手順(ステップ)
- Discordアカウントを作成し、Midjourneyのサーバーに参加。
- 指定のチャンネルで
/imagine
コマンド→**プロンプト(指示文)**を入力。 - 生成された4枚から好みを選び、アップスケールまたはバリエーションをクリック。
- ダウンロードして、トリミングや文字入れ(Canva等)で仕上げ。
具体操作のポイント
- プロンプト:被写体+スタイル(photorealistic, watercolor等)+ライティング(soft light, rim light等)+構図(close-up, wide shot等)を組み合わせる。
- スタイル強度:
--stylize
で世界観の“盛り”を調整。 - アスペクト比:
--ar 16:9
などでサムネ向けに最適化。
注意点コラム(規約と著作権)
- 商用利用の可否やクレジット表記はプランと規約に依存します。ブランドロゴや著名人の肖像を連想させる生成は避け、オリジナル性を確保しましょう。
- 同じプロンプトでも他者が似た画像を得る可能性はあります。独自の後処理(レタッチ、文字組み)で差別化を。
ケーススタディ
副業デザイナーAさん(初心者)は、雑貨店の季節キャンペーン用に**“木漏れ日×北欧テイスト”**の背景アートを大量生成。ベースはMidjourneyで出し、色調補正とロゴ入れはCanva。1案件2万円×月3件の安定受注につながりました。
第2章:DALL·E(ChatGPT画像生成)― 指示が通りやすく、修正もスムーズ
初心者事例
- 要素の整合性がほしい商品合成(例:コップに入った抹茶ラテの泡の質感)
- 構図の指示(「右上に余白」「中心に被写体」)が通りやすい
- Web記事の挿絵や図解風イラスト生成
手順(ステップ)
- 画像生成に対応した環境(例:ChatGPTの画像生成機能や対応アプリ)にアクセス。
- テキストで具体的に指示(背景・撮影角度・色味・余白・用途)。
- 気になる部分を**編集(Inpaint/Outpaint)**で部分修正。
- サイズや比率を調整して書き出し。
具体操作のポイント
- 領域指定編集:不要物の除去、背景の延長、テキストの差し替えが簡単。
- バリエーション:同テイストで複数案を一気に出し、クライアントに比較提案。
- プロンプトの粒度:色コード(例:#FF7A00)や余白の方角まで明記すると意図が伝わりやすい。
注意点コラム(安全・倫理)
- 実在人物の似顔やブランド要素の再現は避け、フェアユースや肖像権に配慮。
- 生成物の権利はツールの規約に準じます。出典や権利表示が必要な場合もあるため、納品前に確認しましょう。
ケーススタディ
ライターBさんは、ブログのハウツー記事に合わせて分かりやすい図解風イラストをDALL·Eで生成。カラーパレットをサイトのブランドカラーに統一し、滞在時間と直帰率が改善。アフィCVRも1.3倍に。
第3章:Stable Diffusion ― カスタム自由度で「狙った絵」を獲る
初心者事例
- 自社キャラの統一ビジュアルを量産(LoRAで学習済みスタイルを活用)
- ポーズや構図をControlNetでコントロールしつつ量産
- ネガティブプロンプトで苦手要素(手指、背景ノイズ)を抑制
手順(ステップ)
- **クラウド型(例:各種ホスティング)またはローカル(WebUI)**を選択。
- ベースモデル(SDXLなど)を読み込み。
- 正のプロンプト/ネガティブプロンプトを設定。
- 必要に応じてLoRAやControlNetを適用。
- シード(乱数)を固定して再現性を担保→量産。
具体操作のポイント
- 解像度アップ:生成後にアップスケーラーで仕上げ。印刷物や大型サムネに対応。
- LoRAの取扱:公開配布物はライセンス条件を厳守。商用可否やクレジット表記の有無を確認。
- 再現性:シード値・解像度・Samplerなど設定を記録し、案件ごとにプリセット化。
注意点コラム(権利・モデル)
- 学習に使われた素材の権利性が議論になることがあります。商用案件では、由来が明確なモデルや公式配布物の利用がおすすめです。
- ローカル環境ではGPU/ストレージも要件。クラウドはコストを定期的に見直しましょう。
ケーススタディ
クリエイターCさんは、キャラクターのポーズカタログをControlNetで作成。SNSの連載イラストを毎日更新できるようになり、ファンが増加。依頼経由でグッズ制作の案件(1点3,000円×50点)を獲得。
第4章:Adobe Firefly ― クリエイティブツール連携で「納品品質」へ直行
初心者事例
- 写真の不要物消し、背景の自然な延長(Outpaint)
- テキストエフェクト(紙、金属、水彩など)でバナーの主役文字をつくる
- Photoshopの生成塗りつぶしでレタッチと合成を同時に
手順(ステップ)
- AdobeアカウントでFireflyまたはPhotoshopを起動。
- 画像を配置し、選択範囲を作って「生成塗りつぶし」。
- 代替案(バリエーション)から選択→レイヤーで微調整。
- IllustratorやInDesignへ連携して、印刷物のレイアウトに適用。
具体操作のポイント
- レイヤー非破壊編集で後戻りしやすい。
- 文字中心のバナーはテキスト効果で時短し、Photoshopで仕上げ。
- カラーマネジメント(CMYK/ICC)を意識すれば、印刷物でも破綻しにくい。
注意点コラム(コンテンツクレーム)
- Fireflyは安全配慮が強く、暴力・差別的表現などを制限。クライアントのブランドガイドラインとの相性も良い反面、攻めた表現は通りにくい場合も。
- 商用利用は契約プランに準拠。Adobe Stockの素材と組み合わせた際の条件も確認を。
ケーススタディ
店舗Dさんは、商品写真の背景差し替えと不要物除去をFireflyで内製化。外注費を抑えつつ、毎週のSNS投稿が高品質に。フォロワー増→店舗の来店数が目に見えて伸びました。
第5章:Canva(Magic Media) ― 企画から納品まで“全部ひとつ”
初心者事例
- ブログのアイキャッチ、Instagramの投稿画像、Pinterestの縦長画像を同じテーマで量産
- 文字入れ・図形・アイコン・テンプレ×AI生成で、デザイン未経験でも整う
- 共同編集でクライアントとそのままやりとり→修正最短化
手順(ステップ)
- Canvaにログインし、用途(YouTubeサムネ、A4チラシ等)のテンプレを選択。
- 画像生成(Magic Media)で背景や素材を作成→キャンバスへ配置。
- テキストを追加、**ブランドキット(フォント/色)**で統一。
- リサイズ(Pro)で各SNSサイズに一括展開→リンク共有で確認→書き出し。
具体操作のポイント
- グリッド/ガイドで余白を整え、見出し/本文の階層をはっきりと。
- 素材の権利はアイテムごとに条件が異なるため、商用利用可をフィルタ。
- アニメーションやスライドも楽に作れるので、提案幅が広がる。
注意点コラム(素材と権利)
- ストック素材の再配布やロゴ使用は条件が厳しい場合があります。配布範囲・用途を事前確認。
- 生成画像+テンプレートの組み合わせでも、オリジナリティを足す(色・写真・文字組)と他案件との差別化に。
ケーススタディ
副業初心者Eさんは、アイキャッチ制作パック(3枚セット)を出品。Canvaで統一トーン(フォント/色)を設定し、Magic Mediaの背景生成で差別化。固定のブログ運営者3名から継続発注を獲得し、月5〜8万円の収益へ。
第6章:5ツールの選び方・導入から初受注までのロードマップ
初心者事例(どれを選ぶ?)
- デザイン経験ゼロ:Canva or DALL·Eから。
- 作品性を出したい:Midjourney or Stable Diffusion。
- 写真を“直す・盛る”が中心:Adobe Firefly。
手順(ステップ)—最短30日プラン
- Day 1–3:要件整理
- 得意なジャンル(アイコン、バナー、サムネ、商品合成など)を1つに絞る。
- 参考画像をPinterestに30枚収集→共通点を書き出し。
- Day 4–10:ツール練習
- 選んだツールで毎日10枚生成→良かった設定をノート化。
- Day 11–15:ポートフォリオ
- テーマ別に5作品×2ジャンルをCanvaで並べてPDF化。
- Day 16–20:テスト受注
- クラウドソーシングでアイコン/サムネのトライアル案件に応募。
- Day 21–30:仕組み化
- 受注〜納品のチェックリストとテンプレを整備。
- よく使うプロンプト集をTYPE(商品合成/人物/抽象背景)ごとに分類。
具体操作のポイント(提案〜納品)
- ヒアリングシート:用途、サイズ、色、雰囲気、納期、参照URL、NG要素をフォーム化。
- 同時提案2案:生成特性を活かし、**A案(安全)とB案(攻め)**で提案。
- 納品前のチェック:権利(ロゴ/フォント/写真)、サイズ、余白、文字校正、色の一貫性。
注意点コラム(リスク管理)
- 規約改定・料金変更は定期チェック。
- 機密情報(未発表の商品写真など)はローカル生成やNDAを。
- ブランドカラーは数値(HEX/RGB/CMYK)で共有し、色ブレを防止。
ケーススタディ
チームFは、YouTubeサムネ専業で受注。DALL·Eで整合性の高い被写体を作り、Canvaでタイトル文字と装飾を統一テンプレ化。1枚1,800円×月80枚で、作業時間は1枚15分へ短縮。
FAQ(5〜8問)
Q1. 商用利用はどのツールでも可能?
A. 多くは商用利用可能ですが、プラン/規約に依存します。ロゴ・商標・実在人物などは特に要注意。案件前に最新の利用規約を確認しましょう。
Q2. どのツールが一番“きれい”に出ますか?
A. 被写体や作風で変わります。アート性や雰囲気重視ならMidjourney、整合性と修正のしやすさはDALL·E、写真レタッチはFirefly、一括デザインはCanva、細部調整と量産はStable Diffusionが有利です。
Q3. PCスペックが弱くても使えますか?
A. クラウド型(DALL·E、Canva、Fireflyのオンライン、Stable Diffusionのホスティング)を選べばPC負荷は小さく済みます。ローカルのStable DiffusionはGPUメモリが重要。
Q4. 副業で最初に稼ぎやすいメニューは?
A. SNSアイコン、YouTubeサムネ、ヘッダー画像は需要が安定。3枚セット等のパッケージ化で受注率が上がります。
Q5. 生成画像の“らしさ”が出ない……
A. 参照画像を添えて指示の粒度を上げ、色・質感・構図まで指定。Stable DiffusionならLoRA/ControlNet、DALL·EやCanvaなら編集機能での部分修正が効果的です。
Q6. 納品後のトラブルを避けるには?
A. 権利関係の明記(商用可否、再配布不可、フォント/ロゴの扱い)と、修正回数・納期・二次利用範囲を契約書/見積書で合意しておくこと。
Q7. 写真とイラスト、どっちが受けますか?
A. 用途次第。EC商品や実務系は写真寄り、SNSやブログ回りはイラスト/グラフィック寄りが刺さりやすい。ニーズ調査を先に。
Q8. ツールは複数使うべき?
A. はい。生成→編集→レイアウトの分業が時短と品質アップにつながります。例:DALL·Eで要素生成→Fireflyで整える→Canvaで版下。
まとめ
AI画像生成は、「発想→形にする」までの距離を劇的に縮めるテクノロジーです。副業では、スピード・安定・再現性が何より大切。この記事で紹介した5ツールの比較と導入ロードマップをベースに、まずは1つ選んで1週間触ってみてください。小さく試し、プロンプトと設定を記録し、テンプレ化していけば、制作時間は確実に短くなります。
- 最短ゴール:Canva/DALL·Eで量産→小口受注
- 伸ばしどころ:Midjourney/Stable Diffusionで作風の武器をつくる
- 品質の底上げ:Fireflyで写真・印刷のクオリティを担保
最後にもう一度だけ。商用利用・素材権利・規約は必ず確認。ここさえ押さえれば、AI画像生成はあなたの副業を“継続的な収入源”に変える強力な味方になります。さあ、今日から最初の10枚を作って、次の一歩を踏み出しましょう。